FC2ブログ

あなたは ノマド型?狩猟民族型?農耕民族型? -民族の発展




あなたは ノマド型?狩猟民族型?農耕民族型? -民族の発展


よく攻撃的な人を狩猟民族型と言ったり、温厚な人を農耕民族型と言ったりしますね。
最近では遊牧民的なノマドワーカも相当数にのぼっています。

今回は、こういった民族の文化から、SIerを含む組織全般の「強さ」や「特徴」といったものを俯瞰してみたいと思います。


さて今回の冒頭の問は、次のようなものです。


狩猟採集民族と農耕民族は、民族で比較するとどちらが好戦的な民族なのか?もしくは、どちらの民族が武力的に強い力を持っているのか?



民族の特徴というのは、現代でいえば「組織」の特徴と言えます。
民族はそれぞれの文化を持っています。以前エントリの構造主義でも示されるように、民族が存在した地域性、時代性、周辺の他民族との関係などから、自然に民族の文化や特徴が決まっていきます。

当の民族に属する1個人から見たら、「文化など意識的には作っていない」と思えるでしょう。
しかしマクロ的に俯瞰すると、1人1人の無意識の行動が、大きな文化や特徴を形作っていきます。

これは、皆様が所属する「組織」にも、そのまま当てはまると思います。

意識するとせざるとにかかわらず、組織は特定の文化を持っています。

さて冒頭の問に戻り、あなたが属しているのは戦闘民族かどうか?考えてみましょう。






民族の歴史に学ぶ


「銃・病原菌・鉄(ジャレド・ダイアモンド著)」では、民族学を研究することで、民族の特徴をあぶり出しています。

紀元前、ポリネシア諸島には様々な民族が存在していました。
ポリネシア諸島は、多くの島からなる列島で、島1つ1つがある程度の閉鎖環境にあることから、民族のガラパゴス的進化が色濃く出ていた地域です。


ある島に住む民族は、狩猟採集型の生活を行っています。
狩猟採集民族とは、武器や道具を手にし、獲物や植物を追いかけて採集し、これを皆で分配して生活している民族です。

これに対し、近隣の島では、農耕民族型の生活を行っている民族がいました。
農耕民族とは、主に穀物を栽培し一つの地域に長く定住する民族です。


農耕民族になぜなったのか、なぜ狩猟採集民族を選択したのか、といったところは、島の環境に大きく依存するのでここでは取り上げません。運良く穀物が栽培しやすい環境であったり、小動物が多い環境である、といったことが影響します。

ここでは、両民族の違いに焦点を当てます。


さて、歴史では、このどちらかの民族が戦闘民族(好戦的な民族)となり、もう一方の民族を攻めて支配することになります。どちらが好戦的な民族になっていくと思いますか?


実は、
好戦的になっていくのは農耕民族なのです。







農耕民族が戦闘民族なわけ


狩猟採集民族は、1人1人の狩りの腕前は良く、また野山を駆け巡ったり戦いをするため、体力や筋力・狩猟技術は高いのです。

原則的に狩猟採集は毎日行う必要があります。男どもが狩りに出かけ、獲物を持って帰ってきて、それを分配する。
これが毎日繰り返されます。

つまり狩猟採集民族は、貯蔵する余剰作物を持っていないことになります。
余剰がないということは、常に獲物を求めてあっちへ行ったりこっちへ行ったりし、時には獲物が取れない日もあります。するとどうなるかというと、仲間で少ない獲物を公平に分配する仕組みが発達します。今でいう社会保障的な制度です。

人口が増えるにつて食糧問題は重大になっていきます。そういった奪い合いやいさかいを減らすために、戦いを放棄し、簡素な武器や道具だけを持つ民族になっていきます。



これに対し農耕民族は、農耕を専門に行うことで、備蓄が増加し余剰作物が積みあがっていきます。
余剰があると、農耕に従事しなくてもよい職業が生まれます。

例えば工芸品を扱う道具屋さん。または、民衆を統率する政治家。そして、戦いを主業とする職業軍人などです。

余剰があるからこそ、生活のための労働に専念しなくても済み、統率された高度な社会を構築することができるのです。


つまり、余剰を産み出せない限り、社会や文化は専門特化、つまり高度化していかないということです。
これは全ての歴史が物語る事実です。







あなたの組織は狩猟採集型?農耕型?


そして冒頭の問いに戻ります。

情報システム開発を行っている企業を例にしてみましょう。

基本的に受託開発をメインに行っていて、プロジェクト個々の案件は比較的短期間なものが多く、プロジェクトを転々とするような業務形態の組織は、確実に狩猟採集型と言ってよいでしょう。

こうした組織は、ほとんどの要員が「稼いで生きるため」にエンジニアやプログラマとして、ライン部門で仕事をしています。日々の食料を求めて、民族総出で狩猟採集に出ているのです。

こうした組織は、高度な専門職は生まれにくいのです。例えば、複数プロジェクトを統括するプロジェクトマネージャという専門職や、経営に専念する経営陣や経営管理部門です。


エンジニア1人1人は、多様なプロジェクトでもまれているのでスキルは高いですが、組織として統率されていないことが多く、誰かの穴埋めをするという(社会保障的な)仕組みによって、皆が年がら年中忙しくしています。




では、農耕民族的な情報システム開発企業とはどんな文化でしょう。
1つの例を挙げれば、自社パッケージやクラウドサービスという「耕すべき農地」を持っており、それを展開することで毎月一定額の収入を得られるストックビジネス型の事業をしていることが言えるでしょう。

農地を増やすため、他人の土地を奪う必要があり、自然に戦略性が高くなり、かつ組織だった行動を取るようになっていきます。

全員が食うための仕事をしなくてもよいため、プロジェクトマネージャなどの高度な専門職も生まれています。








近年はノマドもある


ノマド(遊牧民)は、狩猟採集と農耕の中間に位置するのでしょう。
同じ所で狩猟採集をしていると、食料を食いつくしてしまうので、ある程度のベースキャンプを持ちつつ、定期的に移動するという生活。いずれにせよベースキャンプがあるからこそ遊牧が可能になっているのです。

一人ひとりの能力が高くても、組織としての能力が高くなければ生き残ることは難しいのが現代ではないでしょうか。
もちろん、自分一人の食いぶちを稼げればいいというのであれば、狩猟採集もよいでしょう。
これは個々人の価値観に依存するところなのでどちらが良い悪いはありません。

ただし社会的な影響力を持つためには組織としての体裁が必要であることは、歴史が明らかにしているところです。

こうして見てみると、自分や組織がいかに「無意識のうちに」特定の文化に染まっているのかが分かります。
安定した組織にするには、これらのバランスを定期的に見直すことが必要だと思います。


関連記事
↓記事が参考になったらクリックお願いします

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

so-tan

Author:so-tan
佐藤 創。仙台のIT業界でシステム開発に従事しながら、情報処理試験プロマネの受験対策を実施(「このブログについて」参照)。情報処理技術者システムアナリスト、プロジェクトマネージャ、中小企業診断士。日々自分のキャリアや様々な問題に悩みつつも、前向きに問題に立ち向かえる自分でありたいと願う。そんな日々の記録です。
Twitter → @sato__so__
FB → facebook.com/creative.1st.pm

人気の連載エントリ
当ブログではテーマに沿った連載エントリがあります。掘り下げた議論がお好きなら以下からどうぞ。
  1. 受託・派遣型の中小ソフトウェア業が抱える課題
  2. 情報サービス産業の今を俯瞰する
  3. 自分の強みを仕事に活かし仕事を楽しむ
  4. 情報システム派生開発プロセスの工夫
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
アクセスカウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク