FC2ブログ

平成27年度春季 プロマネ試験を振り返る(その1)



平成27年度 プロマネ 午後2試験問1 解説



去る4月19日に、情報処理技術者試験が開催されました。

当方運営サイト「プロマネ受験対策室」では、メールマガジンで試験解答速報を行っています。
(午後の試験を中心に解説をしています)

まずは午後2小論文の解説をします。
午後2は、読み取れる題意と、論述の方向性をまとめた解説になります。
皆様振り返ってみましょう。







(1)問 題


 H27問1 情報システム開発プロジェクトにおけるサプライヤの管理について

 プロジェクトマネージャ(PM)は、自社で保有する要員や専門技術の不足などの理由で、システム開発の成果物、サービス、要員などを外部のサプライヤから調達して、情報システムを開発する場合がある。

 システム開発の調達形態には、請負、準委任、派遣などがあるが、成果物が明確な場合、請負で調達することが多い。請負で調達する場合、サプライヤは成果物の完成責任を負う一方、発注者はサプライヤの要員に対して指揮命令することが法的にできない。したがって、プロジェクトを円滑に遂行できるように、発注者とサプライヤは、その進捗や品質の管理、問題点の解決などについて協議する必要がある。

 仮に、プロジェクトの進捗の遅延や成果物の品質の欠陥などの事態が生じた原因がサプライヤにあったとしても、プロジェクトの最終責任は全て発注者側のPMにある。
そのため、発注者とサプライヤの間で進捗の管理と品質の管理の仕組みを作成し、実施することが重要になる。

 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア~ウに従って論述せよ。
 
 

設問ア
あなたが携わった情報システム開発プロジェクトにおけるプロジェクトの特徴、及び外部のサプライヤから請負で調達した範囲とその理由について、800字以内で述べよ。
    
設問イ
設問アで述べたプロジェクトにおいて、発注者とサプライヤの間で作成した進捗の管理と品質の管理の仕組みについて、請負で調達する場合を考慮して工夫した点を含めて、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

設問ウ
設問イで述べた進捗の管理と品質の管理の仕組みの実施状況と評価、及び今後の改善点について、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。




(2)作 成 し た 論 文 目 次


 設問文を読んで、目次をまとめた結果を示します。あくまで例ですが、論文で述べる内容を適切に目次として取り込めていればOKです。
 
 1.  私が携わったプロジェクトの特徴
 1.1 プロジェクトの特徴
 1.2 外部サプライヤの請負調達範囲と理由
 2.  サプライヤの管理
 2.1 請負契約での調達に関する考慮
 2.2 サプライヤ間で定めた進捗・品質管理の仕組み
 3.  実施状況と評価、及び今後の改善点
 3.1 進捗・品質管理の実施状況と評価
 3.2 今後の改善点


 目次は問題なく作成できるかと思います。
 2章の目次で、2.1節と2.2節を逆に構成した方もいらっしゃるかと思います。時系列で示すならば、
 
  請負契約における考慮の洗出し
   ↓
  進捗・品質管理の仕組みの決定
  
 の流れが自然ですから、そのように構成しました。
 
 
 
 

(3)題 意 の 読 み 取 り 結 果


 それでは、目次ごとに、問題文の引用箇所と、読み取れることを記載していきます。
 
 

【目次】───────────────────────────────
 1.私が携わったプロジェクトの特徴
 1.1 プロジェクトの特徴


【問題文の引用箇所】
 特に対応無し


【読み取れること】
 特に問題文中に記載がないので、ここはある程度自由に構成を考えて良い箇所です。基本的には以下の内容で構成します。

 ・プロジェクトの概要について端的に述べられていること。
 ・プロジェクトの特徴(契約・納期・費用・各種制約)について、今後の論述の布石になるような内容を適切に述べていること(むしろ論述に関係しない内容については述べないほうが望ましい)。




【目次】───────────────────────────────
 1.2 外部サプライヤの請負調達範囲と理由


【問題文の引用箇所】
 ・プロジェクトマネージャは、自社で保有する要員や専門技術の不足などの理由で、システム開発の成果物、サービス、要員などを外部のサプライヤから調達して、情報システムを開発する場合がある。


【読み取れること】
 外部サプライヤとは、基本的に協力会社のことです。協力会社の場合は人員が調達の対象になることが多いですが、今回は請負契約限定ということで、成果物ベースの委託になります。
 
 請負契約であることを常に意識し、請負契約が妥当ではないと考えられるような論述をしないことが、合格への必要条件です。
 
 
 
 まず論述しなければならないのは、外部サプライヤから調達が必要になった理由です。これも単なる人員不足、というだけでは、請負契約が妥当である理由には不十分なので注意しましょう。
 
 人が足りないだけなら派遣契約でも良いはずです。請負契約が妥当な理由として、例えば、
 
  ・サプライヤはプロジェクト固有技術に長けており、一括で請負契約にしたほうが、派遣契約で当社指示で開発を進めるよりも、納期の短縮が見込める

  ・成果物が明確であり、作業責任を持って開発を進めてもらった方が、当社のリソースを効率的に活用でき、プロジェクト完遂が行いやすい
 
 などのような条件が必要でしょう。
 

 請負・準委任・派遣のいずれの契約形態も比較検討せず、初めから請負契約ありきで論述した場合は、大きな減点になってしまいます。単に調達が必要になった背景を述べるのではなく、なぜ請負契約で調達すべきだったのか、その理由を述べる必要があります。
 
 
 
 題意として盛り込むのはもう1点あり、請負契約の作業範囲を明確に述べる必要があります。請負契約ですから、設計書や作業範囲書がしっかりとあり、責任範囲を明確に区分できる作業を委託することになります。
 
 あやふやな成果物を求めるような論述をしてしまうと、大きな減点につながりますので注意しましょう。
 
 
 
 以下に論述すべき題意をまとめます。
 
 (1)外部サプライヤから調達が必要になった理由について明記していること
    ⇒要員や専門技術の不足などの妥当な理由であること。

 (2)請負契約で発注した作業範囲を明記していること
    ⇒請負契約として妥当な作業範囲であること(準委任契約、派遣契約が妥当と想定される内容ではないこと)





【目次】───────────────────────────────
 2.  サプライヤの管理
 2.1 請負契約での調達に関する考慮


【問題文の引用箇所】
 ・請負で調達する場合、サプライヤは成果物の完成に責任を負う一方、発注者はサプライヤの要員に対して指揮命令することが法的にできない。
 ・仮に、プロジェクトの進捗の遅延や成果物の品質の欠陥などの事態が生じた原因がサプライヤにあったとしても、プロジェクトの最終責任は全て発注者側のPMにある。


【読み取れること】
 本節は、サプライヤ間での進捗管理・品質管理の仕組みを取り決める際の考慮事項を述べます。
 
 留意するのは以下の点です。
 
 
 ・管理方法が、サプライヤに対する指揮命令に当たらないこと。

 ・管理方法は、双方が合意の上で契約に特記事項として盛り込んでいること。
 
 ・プロジェクト全体の責任は発注側にあるので、請負契約で受託したサプライヤに、責任範囲を超えて過剰な負担を求めるものではないこと。
 
 ・進捗遅延、品質不良時の対処は、発注側が指揮命令するものではなく、あくまでサプライヤ主導で検討・実施するものであること。(対処内容を双方協議し、改善案を提示することは問題ない)
 
 ・成果物の受け入れ基準を明記し双方合意すること。
 
 
 管理方法が、サプライヤに対する指揮命令に当たらないことと、問題発生時も、サプライヤが自分の責任範囲で主導し解決すること、および受け入れ基準を明確にすることなどがポイントです。
 
 また、請負契約を締結したサプライヤが発注者側構内に常駐する場合は、発注者と受託者の席を物理的に区切り、他者から見て社内の人間だと混同しないような対策も必要になります。
 
 このように、全て請負契約であることをベースに論述しますので留意が必要です。
 

 以下に論述すべき題意をまとめます。

 (1)請負契約特有の考慮事項、および論述対象プロジェクトの特徴を踏まえた考慮事項を具体的に述べていること。
    ⇒準委任契約、派遣契約に準じるような考慮事項を述べてはいけない。
    ⇒できるだけ1.1節で述べたプロジェクトの特徴を踏まえた考慮事項を挙げること。

 (2)プロジェクトの最終責任は発注者側にある前提の論述を行うこと。
    ⇒サプライヤの進捗遅延、品質不良が原因の際に、プロジェクト全体の責任をサプライヤに転嫁するような内容ではいけない。





【目次】───────────────────────────────
 2.2 サプライヤ間で定めた進捗・品質管理の仕組み


【問題文の引用箇所】
 ・プロジェクトを円滑に遂行できるように、発注者とサプライヤは、その進捗や品質の管理、リスクの管理、問題点の解決などについて協議する必要がある。
 ・発注者とサプライヤ間で進捗の管理と品質の管理の仕組みを作成し、実施することが重要になる。


【読み取れること】
 2.1節で述べた考慮事項を踏まえ、それを解決できる進捗管理・品質管理の方法を具体的に述べます。
 
 具体的な論述が必要ですから、以下のような内容では減点になります。
 
 
 ・進捗管理・品質管理の方法が曖昧。
 
 ・方法のみが述べられており、その方法を採用することで、どのような問題や考慮事項に対応できるのかが述べられていない。
  
 ・想定外の問題が発生した場合のリスク対応策について触れられていない。
  (例:進捗遅延時、品質不良時など)
  
 
 また、2.1節でも述べましたが請負契約であることを満たせない以下のような内容も減点になります。
 
 ・管理方法が、サプライヤに対する指揮命令に相当したり、サプライヤ担当者を必要もなく常駐させたり、毎日の進捗管理などほぼ指揮命令に相当すると思われる内容であったりしている。
 
 ・管理方法を発注者側のみが一方的に押し付けて決めてしまっている。
 
 ・その管理方法を採用すること、サプライヤには負担ばかりが増す。
 
 
 なかなか要求されていることは多いですが、プロマネとしては当然理解しておくべき事項ですからしっかりと対応し論述してください。
 
 
 
 以下に論述すべき題意をまとめます。

 (1)2.1節の考慮事項を踏まえた、具体的な進捗管理・品質管理方法であること。
    ⇒具体性の欠如した内容では減点対象。

 (2)指揮命令権が及ぶ方法ではなく、あくまで合意ベースの仕組みであること。
    ⇒読み手に偽装請負ではないことが明確に伝わる内容であること(基本的には週次・月次の報告会を設け、進捗状況・品質状況を相互に確認するなど)。問題があった場合でも、サプライヤが解決方法を立案するなど、指揮命令権が及んでいないこと。





【目次】───────────────────────────────
 3.  実施状況と評価、及び今後の改善点
 3.1 進捗・品質管理の実施状況と評価


【問題文の引用箇所】
 ・問題文には特に記載無し


【読み取れること】
 本節は2.2節で述べた方法を実際に運用した時の状況を述べます。問題なく運用できた、といった内容でも良いですし、一部に問題があったが改善した、といった内容でも良いです。
 
 重要なのは「具体的」に実施状況を述べることです。
 
 サプライヤの進捗に一部遅れが発生したが、事前に設定していたリスク発生時の進捗管理の仕組みを適用し、双方が効率的に進捗遅延を解決できた、といったような内容を述べたほうが、ストーリー展開としては書きやすいかと思います。
 
 
 
 以下に読み取るべき題意をまとめます。
 
 (1)2.2節で述べた管理の仕組みを適用した状況について具体的に述べていること。
    ⇒計画通り実施できたのか、実施中に何らかの不都合が生じて改善したのか、など、実施の状況が具体的に読み手に伝わること。

 (2)実施したことによる成果を具体的に挙げて、評価を行っていること。
    ⇒成果としてはプロジェクト目標が達成できたのかどうか、といったところを第一に挙げる必要がある。さらに、プロジェクト実行中の進捗・品質面の問題発生時に、早期に問題を察知できたなど、仕組みによってプロジェクト全体への影響を抑えられた、といった具体的な内容を述べる。





【目次】───────────────────────────────
 3.2 今後の改善点


【問題文の引用箇所】
 ・問題文には特に記載無し


【読み取れること】
 具体的な指示はありませんので自由に記載できる箇所です。
 
 論述全体を通じて、述べている内容に関連した振り返りと改善点の抽出が行えていることが必要です。また改善点は、論文で述べた施策や方法論の一部を取り上げて述べることが必要です。全く関係のない改善点を述べる人がたまにいらっしゃいますが、それだとプロジェクトをしっかり振り返りできていないことになってしまいます。
 
 プロマネが客観的に振り返りできていることをアピールできれば問題ありません。


以上です。

関連記事
↓記事が参考になったらクリックお願いします

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

so-tan

Author:so-tan
佐藤 創。仙台のIT業界でシステム開発に従事しながら、情報処理試験プロマネの受験対策を実施(「このブログについて」参照)。情報処理技術者システムアナリスト、プロジェクトマネージャ、中小企業診断士。日々自分のキャリアや様々な問題に悩みつつも、前向きに問題に立ち向かえる自分でありたいと願う。そんな日々の記録です。
Twitter → @sato__so__
FB → facebook.com/creative.1st.pm

人気の連載エントリ
当ブログではテーマに沿った連載エントリがあります。掘り下げた議論がお好きなら以下からどうぞ。
  1. 受託・派遣型の中小ソフトウェア業が抱える課題
  2. 情報サービス産業の今を俯瞰する
  3. 自分の強みを仕事に活かし仕事を楽しむ
  4. 情報システム派生開発プロセスの工夫
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
アクセスカウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク