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受託・派遣型ソフトウェア業の課題:コスト構造(その1)


受託・派遣型の中小ソフトウェア業が抱える課題:コスト構造(その1)


●(1)受託・派遣型ソフトウェア業のコスト構造における課題提起

顧客からシステム開発を受託し、開発要員を投入してシステム開発を行う業態の企業を「ソフトウェア業」と呼ぶ。大きくは「情報サービス業」ととらえても基本的には問題ない。
この記事では厳密に産業分類をせずに書こうと思うが、厳密に理解したい方はまず以下の産業分類を参考にされたい。


経済産業省で定めた区分によると、以下のようになっている。


・日本標準産業分類(平成19年11月改定)

大分類G 情報通信業

 中分類39 情報サービス業

  小分類390 管理,補助的経済活動を行う事業所(39情報サービス業)
   細分類3901 主として管理事務を行う本社等
      3902 その他の管理,補助的経済活動を行う事業所

  小分類391 ソフトウェア業
   細分類3911 受託開発ソフトウェア業
      3912 組込みソフトウェア業
      3913 パッケージソフトウェア業
      3914 ゲームソフトウェア業

  小分類392 情報処理・提供サービス業
   細分類3921 情報処理サービス業
      3922 情報提供サービス業
      3929 その他の情報処理・提供サービス業

(詳細は経済産業省 日本標準産業分類(平成19年11月改定) を参照)


たいていはエンタプライズ系(業務系)、および組込み系システムの受託開発を行っている企業に勤めている方が多いと思うが、それらはすべて「ソフトウェア業」に含まれる。

ここでは特に中小の受託・派遣型ソフトウェア業について意見を述べたいと考えている。

受託・派遣型とは、請負や委任契約でシステム開発を受注し、客先企業や構内に技術者が常駐して開発を行う業態のことをいう。

というのは私が勤務する会社が中小の受託・派遣型ソフトウェア業であり、この業態のビジネスは、

参入は比較的容易であるが、うまみの少ない、リスキーなビジネスモデル

であると考えている。

中小受託・派遣型の情報サービス業(ソフトウェア業)のビジネスモデルにどのような問題点があるのかを分析し、その突破のカギを皆さんで情報共有できればと思っている。

初めに断わっておくと、大規模の企業の場合には当方の示す課題は発生しない可能性が高い。そこは中小企業であるゆえの経営資源の少なさ、という制約がこの課題を生んでいると思っている。なので、すべての企業に当てはまるはずはないのだが、少なくとも受注・派遣型のシステム開発を主業とする中小企業にはおおむね当てはまるのではないかと考えている。



全体の論述の流れを初めに示す。

当方の考えるコスト構造に関する課題の結論と、その結論に至るまでの仮説は以下である。

●結論

受託・派遣型のビジネス慣習によって、受託・派遣型のソフトウェア開発は、ハイリスク・ローリターンのビジネスモデルになっている。

●仮説

人月単価での発注という慣行によって、組織の生産性向上によって余剰工数が生み出されても、柔軟に仕事をアサインできるマネジメントが存在していない。



論述の中では、この仮説を証明しながら、結論に至るまでを順に述べていく。ただし、論述の基礎となるコスト構造などについても併せて説明をするため、だいぶ長い説明になると思う。おおよそ以下の順に述べることとする。

  • (1)受託・派遣型ソフトウェア業のコスト構造における課題提起
       ⇒コスト構造に関する課題の概要を述べる。
        (本記事が該当)

  • (2)ソフトウェア業のコスト構造
       ⇒コスト構造とは何かを理解するための、一般的な説明を行う。

  • (3)生産性の向上が、売上や利益の拡大につながらない原因
       ⇒前述した仮説を述べる。

  • (4)コスト構造の課題
       ⇒前述した仮説によって、コスト構造にどのような影響を及ぼすのかを述べる。




(1)受託・派遣型ソフトウェア業のコスト構造における課題提起


受託・派遣型のソフトウェア業とは、請負や委任契約でシステム・ソフトウェア開発を受注し、客先企業や構内に技術者が常駐して開発を行う業態のことを示す。簡単に言うと、世間一般に言う「ソフトハウス」のことである。

ただし受託・派遣型のソフトウェア業では、なかなか下請けから抜け出せないとか、会社の規模を拡大できないといった問題が山積みである。また、売上が減ったり利益が出ないなどといった問題も抱えている。
これらの課題を1つ1つ見ていこうと考えているが、今回はその中の1つである「コスト構造」に着目する。コスト構造とは、そのビジネスを行う上での費用の構成のことである。費用には、変動費と固定費があり、どちらの費用が多い・少ない、といった特徴が、そのまま企業の利益構成に大きな影響を及ぼす。

本稿では、受託・派遣型のソフトウェア業のコスト構造を分析した結果、一般的な企業と比較して、「ハイリスク・ローリターン」型のうまみの少ないビジネスモデルになっているという課題について述べたい。





●情報サービス業の業種別売上高


まずはざっと情報サービス業の業種別売上高(平成23年度)を示す。
売上高の単位は兆円。

cost3.png

(※数値は経済産業省 特定サービス産業動態統計調査 を参照しグラフ化したもの)


ここでは「受注ソフトウェア」という区分が、受託開発全般の市場規模を示している。

コンビニの市場規模が確か7兆円くらいだったと思ったので、受注ソフトウェアだけでもそれに匹敵する市場規模を持っている。

ざっと問題提起と概要を述べたところで、すでにかなりの文面になってしまった。
次回は、(2)ソフトウェア業のコスト構造 について述べたいと思う。


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プロフィール

so-tan

Author:so-tan
佐藤 創。仙台のIT業界でシステム開発に従事しながら、情報処理試験プロマネの受験対策を実施(「このブログについて」参照)。情報処理技術者システムアナリスト、プロジェクトマネージャ、中小企業診断士。日々自分のキャリアや様々な問題に悩みつつも、前向きに問題に立ち向かえる自分でありたいと願う。そんな日々の記録です。
Twitter → @sato__so__
FB → facebook.com/creative.1st.pm

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